ニュース全ニュース

往年の大スター、尾上松之助主演の幻の名作「忠臣蔵」を完全版として上映!

2015年10月18日(日) レポート

いよいよ最終日を迎えた京都国際映画祭。この日も各会場で、パワーあふれる作品が上映されました。

大江能楽堂で11時から上映されたのが「忠臣蔵(パテベビー完全版)」。
日本映画界の大スター、尾上松之助最晩年に日活が総力を上げて作り上げた超大作です。これまで吉良邸討ち入りの場面などがなく、幻の作品と言われていましたが、九州の旧家でパテベビー(9.5mm)フィルム4巻の完全版を発見。今回松之介生誕140周年を記念して、初披露されました。

大江能楽堂は超満員。
年齢層も幅広く、中には外国からの観客もちらほら。高い格天井、畳敷きの座席と雰囲気も抜群です。
まずMCの清水圭、おもちゃ映画ミュージアムの太田米男さん、活弁の片岡一郎さん、薩摩琵琶の川嶋信子さんが登場。
作品についてのトークを行ったあと、いよいよ舞台にしつらえたスクリーンで、上映が始まります。

映像が流れた瞬間から、客席の全員がスクリーンに見入り、作品の世界へといざなわれました。
尾上松之助の貴重な姿が見られる映像はもちろん、この作品をさらに素晴らしいものにしていたのが、片岡さんの活弁と川嶋さんの薩摩琵琶です。場面に応じて、様々な声色を駆使する片岡さん。その声とスクリーンの映像にぴたりと合わせ、時に強く、時に静かに薩摩琵琶を奏でる川嶋さん。声、音楽、映像のコラボにより、ライブだけが持つ迫力を体感することができました。
終了時には場内から割れんばかりの拍手が! この作品の素晴らしさを会場全体で共有することができました。

上映後のトークショーには、出番を終えたばかりの片岡さん、川嶋さんに加え、再び太田さん、清水が登場。
清水は興奮気味に「すばらしかったですね!」と語ります。
片岡さん、川嶋さんも今回の上演に手応えを感じた様子。「長い作品は大変ですよね?」と質問された片岡さん。「なんとなくやってるんですけどね」と答え、会場の笑いを誘います。

ここで、京都国際映画祭実行委員長の中島貞夫監督が登場。
監督は「この会場にこれだけの人が来てくれた。古い映画ですが、最後の拍手で共感してもらえたと思う、感無量です」と語ります。さらに「松之助さんに相当貫禄が出てからの映画です」と説明。ほかにも二条城近くにあった撮影所のことなどを話し、「松之助さんの忠臣蔵としては代表作だろう」とコメントしました。
最終日のクロージングとして上映される監督の作品「時代劇は死なず ちゃんばら美学考」でも、松之助についてのコーナーを設けているとのこと。祇園花月での上映の案内も行われ、トークショーは終了しました。