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150名以上の監督、俳優、アーティストが衹園甲部歌舞練場に集結!「京都国際映画祭2015」が華やかに開幕

2015年10月15日(木) レポート

「映画もアートもその他もぜんぶ」というテーマのもと、映像からアートまでさまざまな魅力を詰め込んで、京都から世界に発信する「京都国際映画祭2015」が、10月15日(木)に開幕しました。

オープニングセレモニーは、昨年同様、「都をどり」の会場として有名な衹園甲部歌舞練場にて開催。
15時になると、舞妓さんたちがお出迎えするレッドカーペットを、仲代達矢さんや桃井かおりさん、超新星のソンモさんら総勢150名以上の俳優、監督、アーティストが歩き、華やかに映画祭の幕開けを告げました。

15時半、すべての出席者が会場に着席すると、再び幕が開き、司会の木村祐一、藤井隆、KBS京都アナウンサーの遠藤奈美さんが登場。

まずは吉本興業の芸人を代表し、笑福亭仁鶴が挨拶に立ちます。
「この歌舞練場に立つと、しっとりはんなりした気分になるとともに、歴史の重さ、華やかさに圧倒されます」という仁鶴は、「日本のハリウッド」と呼ばれる京都と映画の深い関わりに触れつつ、「パンフレットを見ていると、本当にバラエティに富んでいます。
この京都国際映画祭が、いく久しく続いて京都に根付くこと願ってやみません」と期待を込めました。

続いて、同映画祭実行委員長・中島貞夫監督、総合プロデューサー・奥山和由さん、アートプランナー・おかけんたが紹介されます。
中島監督は、「いま仁鶴師匠の挨拶にもあったが、京都と映画とは大変に深い縁がある。そんな中、京都から世界に向けて何が発信できるのか」と問いかけ、「京都国際映画祭を末長く京都の文化を世界に広げていきながら、皆さんに心から楽しんでいただける映画祭にしたい」と決意を新たに。
同映画祭の大きなテーマである「映画とアート」の強い結びつきについても、「映画は京都の伝統工芸に支えられており、これはすべてアート。それぞれの形で拡大していきながら、なおかつこれからも連携しながら新しい芸術、京都の文化を作り出していくだろうと思います」。
最後は恒例となった「よーい、スタート!」の掛け声とともに、開幕を宣言しました。


来賓の挨拶は、門川大作京都市長と、城福健陽京都府副知事から。
門川市長は「3日前から、もう映画祭を楽しませてもらっています。市役所の前に、おもしろいもの(テオ・ヤンセン ストランドビースト『アニマリス・シアメシス』)が設置され、アート作品をできるところから見せていただきました。いいところで仕事をしています」とニッコリ。
映画祭の開幕に向け、「京都でどんどんすばらしい芸術家が育っていくこと」を祈念して締めくくります。

城福副知事は、仕事の都合で欠席した山田啓二知事の祝辞を代読。
明治30年に日本で最初の映画上映が行われたことに始まる、京都と映画のつながりを紹介しながら、「ここ京都の地で平成9年に中島貞夫監督が京都映画祭としてスタートさせ、昨年装いも新たに生まれ変わった京都国際映画祭が、このたび第2回を迎えられたことは非常に喜ばしく、皆さんのご尽力に感謝します」と述べる一方、京都文化博物館のフィルムライブラリーをはじめとするさまざまな取り組みを紹介。
「皆さんと連携して新しい文化の創造に取り組み、2020年の東京オリンピック、パラリンピック、そして京都文化フェアに大きな弾みがつくよう盛り上げていきたい」と、協力を呼びかけました。


特別顧問の中村伊知哉さん、特別名誉委員のパク・クンリョンさんの紹介を経て、今度はアンバサダーの桃井かおりさん、板尾創路が舞台へ。木村がインタビューする形で、ふたりが同映画祭への思いを語ります。
桃井さんは先日までラトビアで映画を撮影しており、現在も第2作目となる監督作品を編集している真っ最中と多忙を極める日々。
「だから、今回はドキュメンタリーだけ持ってきました。撮影は10日で行いましたが、セットをたてるお金がなくなり、自宅にカーテンを張って病室に見立てました」と制作秘話を明かして木村を驚かせます。
板尾もこれまで自身で映画を監督してきましたが、「撮りたい画を撮って、編集するのが楽しい。まだここから先も作っていける、もっと磨けるという作業」がやりがいになっているとのこと。しかしその編集作業、桃井さんからは「やりおわったのにまたやり直して、全然違う話になって(笑)。いま徹夜4日目なんですけど…」と仰天告白も!?

また、「京都」への思いをきかれた桃井さんは、「若い時は、京都のスタッフが怖くて。本当にプロの人間ばっかりだったので、私のようなヤツは本当に恐れたものです」と思い出を。
続いて「この本当のプロを、なくさないようにしないといけない。この映画祭が盛り上がって、どんどん海外からも来ていただいて、いい映画と映画人を守っていただけるといいなと思います」とコメントしました。
板尾ももちろん同じ思いで、「昨日、京都でドラマがクランクインしたんですが、美術、衣装が本当に素晴らしい。だから、いい意味で怖いんだなって。怖いのもやさしさやなと思うし、それで勉強させていただくところが多い。京都に来ると少し引き締まる感じがする」と、特別な思いがあるようでした。

内閣総理大臣・安倍晋三氏をはじめとするさまざまな方からの祝電披露の後、いよいよ各賞の授賞式へ。
陶芸家の近藤高弘さんが手がけたトロフィー、ミハイル・ギニスさんがデザインした副賞のスカーフをお披露目した後、まずは牧野省三賞の発表です。

日本映画の父と呼ばれる京都の映画人、牧野省三監督の遺徳を偲び、日本映画の発展に寄与した後進映画人を表彰する「牧野省三賞」は、巨匠・黒澤明監督の名スクリプターとして知られる野上照代さんが受賞。
プレゼンターは牧野監督のお孫さんに当たる俳優の津川雅彦さんが務め、旧知の仲である野上さんをあたたかい笑顔で祝福しました。
『羅生門』を皮切りに、『生きる』以降のすべての黒澤作品で記録、編集、製作助手を務め、88歳を迎えられた現在は文筆家としても活躍されている野上さん。
選考委員の中島貞夫監督は「スクリプターの仕事を終えられてからも、当時の映画界を後世の人に伝えたいと、大変な努力で出版や講演の機会を作るなど、映画人のあり方を語り続けてくださる貴重な語り部であり、尊敬すべき先輩」と選考理由を語り、野上さんの功績を褒め称えました。
さらに、野上さんと親交の深い女優・吉永小百合さんからも祝福のメッセージが。
これを受け、受賞の喜びを語った野上さんは、開口一番「いやー、驚いたなぁ」とユーモラスな口調で感想を漏らして笑いを誘うと、「牧野省三という本当に素晴らしい監督の名前を冠した賞をいただけるのはうれしい」と笑顔でコメント。
生前の牧野監督が映画にとって大切な3つの要素について語った言葉という「一スジ(=脚本)、二ヌケ(=撮影)、三ドウサ(=俳優)」を引用し、「牧野監督は俳優を育て、シナリオを大事にした方。
せっかく京都の『牧野賞』なんだから、これからも(後進が)そういう映画を作ってほしい」とこれからの映画界に期待を寄せました。

戦後の日本を代表する大スターで、海外からも尊敬を集める俳優・三船敏郎さんに敬意を表し、国際的な活躍が期待される俳優に贈られる「三船敏郎賞」は、黒澤映画の『椿三十郎』『用心棒』など多くの作品で三船さんと共演し、舞台、ドラマなどでも精力的に活躍する名優・仲代達矢さんが受賞。
プレゼンターで三船さんのご子息でもある三船史郎さんは「この受賞を父も喜んでいると思います」と感慨深げに語りました。
選考委員の映画プロデューサー・奥山和由さんは「仲代さんにお会いすると、今だに緊張します」とそのオーラに圧倒され続けていることを明かし、「日本映画界全体が“仲代達矢”という看板に支えられて何本も作品を作り続けている」と日本の映画界には欠かすことのできない偉大な存在感を讃えました。

さらに、仲代さんとは夫婦役で共演が多いという女優・八千草薫さんからも祝福の言葉が寄せられ、「年を取るごとにどんどん素敵になられる」とますます円熟味を増す仲代さんの魅力を絶賛。その言葉に穏やかな微笑みをたたえながら耳を傾けていた仲代さんは「三船敏郎賞」の受賞を受け、その名を冠した三船さんについて「俳優になる前、私は強烈な三船ファンでした」と三船さん主演の黒澤監督作品『酔いどれ天使』に魅せられ、「12回続けて観た」という青春時代の思い出を披露。「三船さんと共演させていただいたのは私の俳優としての勲章。私の演技の先生であり、特にそのチャンバラのすごさに太刀打ちしなければならないと、家の庭に小屋を建てて真剣を毎日振り回したこともありました。とても三船さんには敵いませんでしたが…(笑)」と秘話も明かし、「私は18歳で俳優になって、もうそろそろ83歳ですから60年以上この世界にご厄介になっていますが、三船さんの名前のついた賞をいただいたのをきっかけに、また少しでもがんばりたいと思います」と今後の活躍にますますの意欲を見せていました。

続いては上映映画の紹介です。
「京都国際映画祭2015」に加え、連携企画「京都国際学生映画祭」、「祇園天幕映画祭」、「京まちなか☆音楽映画祭」、「京都国際インデイーズ映画祭」の出品映画が次々と紹介され、再び奥山さんがステージに。

奥山さんは「映画、アートとは自由表現」とし、「今回はエッジの効いた作品、メッセージ性の強い作品を中心に集めています」と今回のコンセプトを解説。
『A2 完全版』について、「上映した時はカットされた映像を復活させています」、吉本の芸人107組をインタビューした『ワレワレハワラワレタイ』も「皆さん言いたい放題」とポイントをピックアップ。
なかでも奥山さんのお気に入りとして挙げたのが、スカッド監督の『ボヤージュ』。「映画、アートの融合の代表的な映画だと思います。監督の希望もあり、今回に限り無修正で上映します」と、この映画祭でしか出会えない見どころを語りました。


また、京都市役所前広場、総本山誓願寺、京都文化博物館、ホテル アンテルーム京都、元・立誠小学校、大江能楽堂、京都水族館、藤井大丸の8カ所で開催中のアートイベントやワークショップが紹介されました。

そこで、アートプランナーのおかけんたにおすすめを聞いてみることに。
「今年はいろんな施設やデパート水族館など、いろんなところでやらせてもらうことになりました」とご挨拶。
なかでも京都文化博物館は、「映画とアートの融合ということで、中島貞夫監督の『時代劇は死なず ちゃんばら美学考』展は、時代劇に使った刀剣やセットを展示しています」といいます。
とくに当時、500万円かけて伝統工芸のまき絵を施した刀の展示は必見だとか。

そろそろセレモニーも終盤です。

株式会社きょうのよしもと代表取締役 木村深雪から、皆様へ挨拶が。
「本日は京都国際映画祭2015オープニングセレモニーに足を運んでくださり誠にありがとうございます。皆様お楽しみいただいておりますでしょうか?」との問いかけに、お客さんから大きな拍手。
「京都映画祭から志を受け継ぎ、装い新たに京都国際映画祭として、本日皆様のおかげで第2回目を迎えることができました」と改めて感謝の言葉を。
「京都の皆さんに愛される映画祭を目指して、回数を重ねてまいりたいと思いますので続けてまいりますので皆様、ご協力、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします」と改めて決意を語りました。

続いて紹介されたのは、『京都国際映画祭2015』のかけはしガールを担う今くるよ。
「二回目の開催は素晴らしいこと。たぶん京都の方々は喜んではると思います。私も京女ですから、大変うれしいです。私も愛のかけはしガールとしてがんばりますのでよろしくお願いします」と挨拶を。
また、10月17日(土)に上映される『ワレワレハワラワレタイ』では、生前の今いくよさんの姿も収められていることもあり、感無量とも。
木村が「大阪の本社の上で撮りましたよね。元気いっぱいでしゃべっていただきました」とふり返ります。
するとくるよは「よく撮っていただきました。ものすごく感動しています」と感激しきりでした。


『京都国際映画祭2015』は、“映画もアートもその他もぜんぶ”と、盛りだくさんの内容で、京都市内の各会場で10月18日(日)まで開催しています。
この機会にぜひお楽しみください。