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特別招待作品『無花果の顔』の舞台挨拶に桃井かおりさん、椿鬼奴が登壇!長編初監督作の撮影秘話を語る

2015年10月16日(金) レポート

10月16日(金)、よしもと衹園花月にて桃井かおりさん監督・主演の2006年作品『無花果の顔』が上映され、終映後の舞台挨拶が行われました。
本作品は桃井さんが自身の短編小説を元に脚本を執筆、長編映画初監督に挑戦した意欲作。
娘役に山田花子が抜擢されたことでも話題を呼びました。

冒頭、MCの清水圭に「桃井かおりさんです」と呼び込まれたのは、なんと椿鬼奴。
「ロスから来たから飛び込みで…びっくりしちゃった。『無花果の顔』は初めての長編映画ってことで、すごい楽しんでやりました」となりきってしゃべりまくっていると、続いて本当の桃井さんが舞台へ登場、客席からは大きな拍手が起こります。
今年の沖縄国際映画祭レッドカーペットで顔を合わせたものの、「お仕事で共演するのは初めて」とのことで、鬼奴は緊張の面持ち。ところが桃井さんからは「もう、そのまま使ってください」と思わぬ“本人公認”が飛び出し、大感激です。

話題はさっそく『無花果の顔』にまつわるあれこれへ。清水から「いつごろから映画を撮ろうと思っていたんですか?」ときかれた桃井さんは、「実は、テレビ番組は22、3歳から撮っている。自分が出ていたシリーズの番組は、自分で脚本を書いて主演しているものも多かったんです。でも、生意気な感じがするから名前は伏せてたの」と意外な回答。
手がけた作品として『R−17』や『ビューティ7』、『伝説のマダム』といったタイトルが挙がると、鬼奴は「そうだったんですか!」と驚きを隠せません。
「当時はまだ『世間が許さない』って感じでしたね。でも、50歳を過ぎたら名前を出してやっていいって感じになって」待望の長編映画監督デビューにいたったそうです。

原作が小説なので、シナリオなしで撮れると考えていたものの、プロデューサーから「シナリオは必要」と言われ、なんと1日で書き上げたという桃井さん。花子起用のきっかけは意外なもので、「最初は若い女優さんを募集したけど、みんな“女優さん”みたいなの。テレビに出ている花ちゃんを見て『こういう普通の人でいいのよ』って言ったら、本当に交渉してくれて、出てもらえることになったの」。
プロの女優ではないため、演技やシーンについての説明がなかなかわかってもらえず苦労したそうで、「(花子が)憎かったですよ(笑)。縁側から上がってきてって言ったら『どうやって上がるんやろ』って…生理的にできないわけ。しょうがないから本番で回してみると上がれるって、そういう感じ」とも。だからこそ「俳優さんはパターンにハマるんだけど、(花子は)どうにもならないけど絶対パターンにハマらない」と、その魅力を語っていました。ただし、役作りのため7kg痩せなければならないのに、楽屋で盗み食いをして逆に太っていたという問題行動(?)もあったようですが…。

また、鬼奴が「大好き」という居酒屋でのプロポーズ場面は、ロケのために店を借りたものの時間が短く、なんとすべてのシーンを30分で撮り切らなければならなかったとか。桃井さんは「セリフを用意していましたが、そんなことをやっていたら終わらないので、『私語禁止』の店という設定にしました。仕出しの人が間に合わなくて、全員スタッフが座っています。インディーズのものを創るときは、時間はつまりお金との戦いなんですよ」と、裏話を明かしていました。

家族の話を扱った理由については、「日常の会話がすごく残酷だと気付いていたから…。うちの母も、父が亡くなった時に『焼き上がるまでもうちょっとよ』って言ったり、死んだらケロッと忘れちゃったり」と桃井さん。第2回監督作となる『火 Hee』とその撮影を記録したドキュメンタリー『Hee and She 映画「火 Hee」を作った日々』についても触れ、「10日で撮影を終えなければならず、すごく大変でした。俳優をやりながら映画を作るにはこの手があるというのもわかると思うので、ぜひ見ていただければ」とPR。鬼奴は「花子さんが抜擢されたので、いつか私も何かの役で…」と、未来の出演オファーに期待を寄せていました。