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彼らとは一体何だったのかを受け止めて考えないといけない。

2015年10月16日(金) レポート

10月16日(金)TOHOシネマズ二条では「A2」完全版が上映されました。
上映後の舞台挨拶には、森達也監督、安岡卓治プロデューサー、松江哲明監督が登壇され、「普段は僕がツッコミで森さんがボケでいつかそういうトークをしようと思ってたんですが…」と安岡プロデューサーの終始和やかなムードの中トークは始まりました。

まずは完全版と、過去に上映されていた「A2」との最大の違いを教えていただきました。山形プレミアム映画祭だけで完全版を上映したと話す森監督。弁護士側から松本梨華さんの部分を削除してほしいとの強い要求を映画放映の為、苦渋の選択で飲んだと話します。

もう一つは道場の至る所に貼ってある松本被告の写真を外せとの要求に写真の86箇所をCGで消したと安岡プロデューサーが話されます。「見比べてもらうとわかるのですが、信仰の対象となるものがあるかないかで施設の趣が全然変わる。緊張感がなくなるんです。」
山形プレミアム映画祭の時はどうしても編集が間に合わず、配慮していただいたそうです。


また、解像度が通常の劇場では耐えられないそうなのですが、ここのスクリーンが今まで映画を流したスクリーンの中で最大だそうで。森監督は「シネコンで見る映画じゃないですよ。」と仰られていました。よく聞くと自分の鼻息の荒さもインタビュー中に入ってしまっていて思わず逃げ出したくなったと話す安岡プロデューサー。
松江監督は、今では見ることができないざわざわした質感がこの映画では見れるので、これはこれですごく今の時代を撮ってたなと思いました。と語ります。

上映が終わると中には気分が悪くなって出て行かれる方もいるそうで、森監督も倒れそうになったそうなのですが、監督が倒れたらたらシャレにならない!と気を奮い立たせたそうです。
頑なに出る側を拒んでいた森監督ですが、自分が被写体にならなければどうにもならないことがあり、出ることを決意。安岡プロデューサーはこのことを森監督の作品に対する創り方が大きく変わったターニングポイントになったと話されました。教団を排除することでなにかが解決するということではなく、彼らとは一体何だったのかということをちゃんと受け止めて考えないといけないと安岡プロデューサーは言います。

最後に森監督は「A2は本当に大事な作品ですやっぱり僕にとって映像は本籍です。活字ももちろん大切ですが、来年新作を発表するので、その前にA2完全版を再上映できたことが本当に嬉しいです。」と締めくくられました。