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『いしゃ先生』舞台挨拶で“山形のナイチンゲール”を演じた平山あやさんが感動の撮影秘話を披露

2015年10月17日(土) レポート

10月17日(土)、よしもと祇園花月にて『いしゃ先生』が上演され、主演の平山あやさんと永江二朗監督が舞台挨拶を行いました。

この作品は、昭和初期に“陸の孤島”と呼ばれた山形県大井沢(現、山形県西川町)で村人を病気やケガから救ったひとりの新米女医・志田周子さんの人生を描いたもの。

なにやら緊張気味の永江監督に、司会の清水圭が「めちゃくちゃ緊張されてますよね?」と質問。
「出身が神戸なので、身内がたくさん来てるんです」と話すと客席から手をふる方々が大勢いました。
「これまで何本も映画を撮ってきましたがほとんどホラー作品なので、初めて身内を呼ぶことができた記念すべき作品です」と笑顔で語りました。

今作品のモデルとなった女医の志田周子さんの人柄を尋ねられた永江監督は、
「陸の孤島といわれたほど閉ざされた村で、村長である父親の『この村に医者を置く』という強い思いに応えるために26歳の女性が決心するのはすごいこと。亡くなるまで生涯独身を貫いて、自分のすべてを村に捧げた女性です」と解説。
そのことから、“山形のナイチンゲール”と呼ばれていたといいます。

平山さんも、志田周子さんを演じるにあたり思うところがあった様子。
「存じ上げなかったので、『資料はありますか?』と聞いたんですが、監督が『見ないで自分らしくやってください』と言ってくださって。
でも、こっそりネットで調べました。
それですごい人だと知ってから緊張しちゃって。うれしい気持ちと、不安も大きかったです」と語りました。

映画の撮影は志田さんの生まれ育った大井沢で行われ、志田さんが実際に働いていた診療所は倉庫になっていたものをわざわざ建て直して撮影に挑んだという力作です。
また、ポスターで平山さんが使っている机も志田さんが愛用していた本物なのだとか。
「実在している方を演じることはプレッシャーもありました」と平山さん。
「エキストラとして町の皆さんに参加していただいたんですが、なかには実際に志田先生を知る人もたくさんいました。私が撮影現場で白衣を着ていると、目に涙をためて『すごく似ているね』と言っていただき、それがすごくうれしかった。皆さんが知っている志田先生に少しでも近づこうと、がんばることができました」と心に残るエピソードを。

大自然の中での撮影も過酷だったようで、とくに冬のシーンは、去年10月に一度撮影し、今年2月にも再び撮影。
永江監督は「この地域は山形の中でもいちばんの豪雪地帯で、夏と冬とでは景色がまったく違う。冬は雪が3mも積もるんですよ」と明かします。
平山さんは「寒いという言葉では言い表せないぐらい寒かったです。でも、風景がすごく素敵でした。映画でも山形の美しさと過酷さを見ていただけます」と思いを馳せていました。

また、志田さんが生涯独身を貫いたことを受けて清水圭が「あやちゃんも?」と尋ねる一幕も。
思わず「なんですか、それ!」とツッコむ平山さんですが、「結婚はしたいんですけど、残念ながら31歳になってしまいました…」とポツリ。
すると清水圭は「僕はあやちゃんが10代の頃にテレビ番組でよく共演したんですが、今日久しぶりに会って驚きましたよ! こんなに素敵な大人の女性になっていたとは」と絶賛。お客さんからも拍手が起こりました。
永江監督も「この映画を観たあと、平山さんのイメージが一変するぐらい素晴らしいお芝居をしていただきました。志田先生が乗り移ったかのようです」とベタ褒め。
平山さんは「お医者さんの役を演じるのは初めてだったので新しい挑戦になりました。観終わったあとにひとりひとり心に残るものがあると思います」とPR。

永江監督は「この映画は、最近流行の人気漫画が原作やドラマの映画化という、そんな華々しいものではありません。野に咲く小花のような作品です。でも、小花にも美しさがあります。今の時代、このような作品は大切だと感じています。そんな映画の監督ができたことが幸せだと心底思います。宣伝部長として、皆さんにこの映画を広めていただけるとうれしいです」と語りました。

『いしゃ先生』は、11月7日より山形県で先行ロードショー。それを皮切りに、全国での公開が来年から順次スタートします。