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主演のココリコ・田中直樹も感激! 『だCOLOR?』の金子傑監督が田中起用のワケとは!?

2015年10月17日(土) レポート

10月17日、『京都国際映画祭』の「TV DIRECTOR‘S MOVIE」部門の1作品、『だCOLOR? ~THE脱獄サバイバル』がTOHOシネマズ二条で上映されました。
テレビ局のディレクターがメガホンを取った作品を上映する「TV DIRECTOR‘S MOVIE」。
『だCOLOR? ~THE脱獄サバイバル』はフジテレビの金子傑監督が、ココリコ・田中直樹、渡辺いっけいさん、佐藤二朗さんを主演に、終身刑を言い渡された3人の政治犯の姿を描いています。

囚人を減らすために政府が発案したとあるゲーム。
終身刑の政治犯3人は、このゲームのために集められたのでした。
誤った回答をすると即死刑というルールに、3人の政治犯たちは心理戦を繰り広げます。
気弱で絶対にウソをつかなそうな男、プライド高く相手をビビらせるオーラを持つ男、お調子者だけど人間不信な男と、三者三様の男たちがプレッシャーを抱え、悲喜こもごもの葛藤を繰り広げます。

開口一番、「会場に入るのに後ろの映写機のところを抜けてきたんですけど、(スクリーンでは)ちょうど相方が映っているところでした」と田中。
浅越も、ラストシーン直前でココリコ・遠藤が出てきたことに「まさか遠藤さんで終わるとは」と意表を突かれた様子でした。

そして役の話について。
田中の役どころを「本当に苛々する役でしたね」と感想を語る浅越。助かりたいという一心や恐怖心から、つい嘘をつくものの、自分が嘘をついていることすら気づかない、物語でのそういった心理状態に「人間、追い込まれるとああいうふうになってしまうんですよね」と田中もしみじみ、語りました。

そこで観客の皆さんに出演者の中で誰が一番苛々したかを拍手の量で尋ねました。
渡辺さん、佐藤さんには拍手なし。
ということは…?「ゴエ君、もう聞かなくていいよ」という田中。
浅越も「これは白紙投票的な…」と察するも、念のため、「田中さんですか?」と尋ねると、会場からは満場一致の拍手が起こりました。

人を苛々させる自身の役どころに「最低な人間ですよ。そういった意味でも面白かったですね」と田中。
浅越が「田中さんを一番苛々する役にしようと思ったんですか?」と金子監督に尋ねると「田中君と映画をやろうと思った時から、とにかく苛々する役にしょうと思っていました」と明かしました。

金子監督と田中は、バラエティ番組『ココリコミラクルタイプ』(フジテレビ)からの20年近い付き合い。お互いをよく知る旧知の仲であり、趣味も合うのか、この舞台挨拶でも図らずもグレーのジャケットと衣装がお揃いになりました。
「今日もジャケットの色が一緒で、金子監督は苛々していると思います」と田中、どうやらお互い、ちょっとずつ、苛々しているようです。

本作は、渡辺さん、佐藤さん、田中が1シチュエーションで物語を展開。
それぞれの個性が光る場面がいくつも飛び出します。この会話劇、アドリブもたくさんあったとか。中でも佐藤さんのアドリブが多く、「嘘、またか」というようなセリフが、佐藤さんにかかれば英語の慣用句になるというミラクルも。「台本にはない、佐藤さんのオリジナルのセリフもありましたが、これが正しいんだろうなと思って」と金子監督、そのまま撮影を続けたそうです。そして渡辺さん、佐藤さんがアドリブをどんどん出してくる撮影現場に、「(出演者の中で)唯一の芸人の僕がものすごく真面目でした。すごかったですよ」(田中)と振り返りました。

「田中さんには、台本どおりにやってもらいたかったですか?」と浅越が尋ねると、それはなかったと金子監督。
『ココリコミラクルタイプ』の頃から、アドリブが飛び出す長台詞のコントもやっていたことから、そこは田中にお任せだったそう。それだけに現場は自由な雰囲気に。
「細かい構成もあるともいますが、金子監督は昔から現場のお芝居の温度を優先してくれる方。そういうことは画面から伝わるという思いがあると思います。
その現場の空気で、いいカットが伝わるんじゃないかと思います」と田中の解説も参考になりました。

劇中、出演者の3人はずっと手錠を後ろ手にかけられています。
役作りの話題では、「渡辺さんがスタンバイ中もずっと手錠をしていた」と撮影秘話を持ち出した田中。
スタンバイ中も手錠をかけて過ごすことで、どういう体の動きが可能かなど探っていらしたとのこと。
「その姿に勉強になりました」と田中は役者としての階段また1歩、上がったようです。

田中が渡辺さんの役作りについて熱く語っている横で、思いつめたような表情の金子監督。
恐る恐る「……最初、田中君に苛々する役をやってもらいたかったと言ましたが、そんなことはなくて…。僕は何を言ってしまったんだろうと思って…」と、突然の告白を。
田中も舞台挨拶中、元気のない金子監督におかしいなと思っていたようで、どうやら金子監督はご自分のご発言に後悔していたそうです。
そして改めて、なぜ田中と映画を作りたかったか、その気持ちを語られました。

「まず田中君と映画をやりたかったんです。それと、田中くんと『ミラクルココリコタイプ』やっていた頃は20代後半から30代前半で、自分たちが体験したことを再現する方がやりやすいので、学生時代とか、若い恋愛とか、若い夫婦とかのコントをたくさんやっていたんですけど、あれから10年が経って、40歳過ぎたオッサンになった時に、当時は全然思わなかったんですけど、40過ぎてオッサンになっても、すごく苦しみながら、でも前を向いて生きているなと思って。オッサンもすごい考えてるんだよということをやりたかったんです」と作品への思いを改めて教えてくれました。

浅越は、金子監督の「田中君と映画がやりたかった」という一言に感銘を受けたそう。田中も、「正直ありがたかったですね。二つ返事というか、本がどうのこうのという前に、金子監督と一緒にやれる!っていう思いがありました」と喜びを表しました。

ヒロインなし、中年男性ばかりの映画に「オッサンがずっと出てる」と田中。
「そういう人たちのために遠藤くんのシーンがあるんです」と言う金子監督に、「いやいや、あれもゴリゴリのオッサンですよ」と田中。
続けて、「オッサンが演じて、オッサンが撮って、オッサンが音拾って、オッサンが“はい、OK!”言うてますから。オッサンだらけ。舞台挨拶もオッサン3人。女子感ゼロの作品です。それがまた伝わればいいなと思います」作品をPRしました。

ラストシーンでの遠藤も話題になりました。「遠藤さんの出演は金子監督のこだわりですよね?」と浅越が尋ねると、「はい!そうですね!……えーっと…」と言葉に詰まる金子監督。
「こだわってないように見えますよ!」という浅越の一言に、会場は笑いに包まれました
。遠藤の出演シーンは、最後の最後、ラストシーンに続くワンクッションとなったのでは?と田中が推測するも、「あの場面で遠藤さんの出演は正解だったか、未だに分からないんです…」と心情を吐露した金子監督。そこで、観客の皆さんに再度アンケートを。「あの登場の仕方でよかったと思う人は拍手を!」と浅越が促すと、またまた満場一致の拍手が起こり、金子監督もほっと胸をなでおろした様子でした。
遠藤が一体どんなシーンで登場するのか、こちらも楽しみに、ぜひ作品をご覧になってください!