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なだぎ武がドキュメンタリー映画『ルック・オブ・サイレンス』の舞台挨拶で「人間のもどかしさを描いたヒューマンストーリーを観てほしい」と作品をPR

2015年10月18日(日) レポート

10月18日、TOHOシネマズ二条にて『京都国際映画祭2015』Special Screening in KYOTO部門の『ルック・オブ・サイレンス』が上映されました。
60年代、インドネシアで行われた大虐殺。その模様を加害者たちが“再現”する様を追った衝撃のドキュメンタリー『アウト・オブ・キリング』を手がけたジョシュア・オッペンハイマー監督による『ルック・オブ・サイレンス』は、第71回ヴェネツィア国際映画祭5部門を受賞したドキュメンタリー作品です。

虐殺で兄を失った青年アディ。彼の家族は、加害者たちが今も権力者として同じ村に暮らしているため、半世紀も沈黙を強いられてきました。しかし、ある時アディは兄を殺した加害者たちが殺害の様子を誇らしげに語るインタビュー映像を目にし、自ら加害者のもとを訪れることを決意。 命がけの対峙で、彼が直面した「責任なき悪」とは何かを描いた衝撃作です。

上映前の舞台挨拶では、なだぎ武が登場。武内由紀子とのトークが弾みました。登場時も、つまづいてみたり、ステップを踏んでみたりと、ボケを乱発します。自転車に乗るポーズなど、ディランも彷彿させます。
映画好きでも知られるなだぎ、ドキュメンタリーも良く観るそうで、『京都国際映画祭2015』でも上映された『ゆきゆきて、神軍』も昔見たことがあり、「奥崎謙三という男が暴れたおすんですよ。おっさん同士が掴みあいのケンカして…」と振り返ります。また、同じくTOHOシネマズ二条で映画祭中に上映された『赤ひげ』の舞台挨拶では、三船史郎さんともトークを繰り広げました。

『ルック・オブ・サイレンス』を鑑賞したなだぎは、「作品自体は淡々と小説を読んでいるように進んでいきますが、内容がハードですね」と感想を。オッペンハイマー監督が命がけで撮影したエピソードを武内から聞いたなだぎは、「そこまで自分を追いつめたんですね。携帯のメモリも全部消したって、“あいつに連絡せな!…しもた!消しとった!”ってなるわけですよね。そんな思いまでして挑んだ作品なんですね」と、身近な例を出しながら、決死の覚悟であったオッペンハイマー監督の心情に歩み寄りました。

「海外で怖い思いをしたことは?」と尋ねられると、人生初の海外旅行である出来事に遭遇したとのこと。訪れたタイ・アユタヤからバンコクまで移動する際、タクシーを選択したなだぎですが、気が付けばタクシーは明らかに山道を走行。当時付き合っていた彼女と後部座席で「これはまずい…」と脂汗をかいていたところ、タクシーはとある一軒家の前で停止し、運転手は中に入って行きました。それから約5分後のこと、家の名から幼児を抱えた女性と、小学五年生ぐらいの女の子が出てきて、女性は助手席へ、女の子はなだぎたちが座っている後部座席に乗り込んできました。

いったい何事!?とタクシーの運転手に尋ねると、「娘と嫁だって言うんですよ。バンコクまで行くのはちょっとした旅行やから、家族を連れてってもいいか?と聞かれて。でもいやもう乗ってるし、走り出してるやんと思って今更無理やとも言えず、タクシーの運転手の家族と一緒にバンコクまで行きました。女の子に“今、学校で何が流行ってるの?”って聞いたら“『ドラえもん』”と言ったので、『ドラえもん』の絵を描いてあげたら喜んでくれて、仲良しになって」と、あわや連れ去り!?と思いきや、ふたを開けてみるとちょっとしたハートフルなハプニングというオチでした。

フォトセッションでは、「エア自転車で!」というポーズのリクエストに、「作品と全然関係ない。なにやらせんねん!」とぼやきながらも、足をまっすぐ上げて美しい直線を描いていました。

「『ルック・オブ・サイレンス』はちょっと重たい話ですが、観ていただいたら、伝えたいことが分かると思います。こういう生き方もあるんだなと思いました。自分の中で腑に落ちないことを問い詰めたい、解決したいと願う男と、自分は確かに関わったけど、今はもう触れないでほしいという、罪と罰を抱えた男のストーリーというか。人間のもどかしさを描いたヒューマンストーリーです」と作品のPRをして、お約束のようにボケにボケを重ねて会場を後にしました。