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ピース又吉のアート展示も!「京都は、変や乱が好き♥」をテーマに個性豊かな映画&アートが集結「京都国際映画祭2015」プログラム発表会見

2015年9月7日(月) レポート

昨年、「京都映画祭」の伝統と志を引き継ぎながら、新たな映画文化の創造をはかるべく幕を開けた「京都国際映画祭」。「映画もアートもその他もぜんぶ」をテーマに、映像だけでなく広くアート分野をもカバーする内容で好評を博した同映画祭が、今年も10月15日(木)〜18日(日)、よしもと祇園花月をはじめ京都市内各所にて開催されます。これに先駆け9月7日(月)にはプログラム発表会見が行われ、気になる上映・展示作品や各種イベントの詳細が発表されました。

昨年の様子や今年のキャッチコピー「京都は、変も乱も好き♥」を紹介するオープニング映像の後、司会のピースとKBS京都アナウンサー・遠藤奈美さんがステージへ。

「今日は芥川賞を受賞した先生の講演会です」というおなじみ綾部のボケで会場の空気がほぐれたところで、門川大作京都市長の挨拶からスタートです。門川市長は「東洋のハリウッドと呼ばれた、日本映画の聖地ともいえる京都。元・立誠小学校は日本で最初に映画が上映された地でもあります」と"映画都市"京都の歴史に触れつつ、「京都映画祭の流れをくみ、吉本さんとのコラボレーションでより想像力豊かなものにしていこうというもの」と本映画祭について改めて説明。訪れたい世界の都市ランキングで2年連続1位にで選ばれたことを受け、「これを継続し発展していくのが務めであり、伝統を大切しながら創造的に活動していくのが使命」とも。本映画祭においても「想像力あふれる作品が出てくるのではと期待しています」と語りました。

映画祭運営を担う「きょうのよしもと」からは、代表取締役社長・木村深雪が登壇。昨年の第1回をふまえ、さらに飛躍したいと相談を重ねてきた今回のプログラム。「コンテンツのひとつひとつが思いのこもったもの」と胸を張り、「映画の街・京都で愛される映画祭として深く広くつながっていきたい」と抱負を述べました。 

さらに、本映画祭実行委員会事項委員長である映画監督・中島貞夫さんも挨拶を。中島監督は「映画もアートもその他もぜんぶ」というテーマを挙げ、「なぜそうなるのかということですが、京都の映画の歴史、特に時代劇を支えてくれたのが、実は伝統工芸の部分。今年はこれをひとつのポイントに、『時代劇は死なず ちゃんばら美学考』というドキュメンタリーを制作、京都の伝統工芸がいかに京都の映画を支えてきたかという部分にも触れています」と自身の作品を引き合いに説明。「京都では、映画とアートが根深く広範囲にわたって展開してきた」からこそ、昨年以上に今年は「映画もアートも大きく羽ばたいてもらいたい」と願いを込めました。

続いては、同映画祭総合プロデューサーを務める奥山和由さんによる概要説明です。開口一番「映画祭は、考えれば考えるほどゴチャゴチャになるところがある。考えすぎて(テーマが)『変と乱』になった」と奥山さん。そんな熟考の末に生まれたプログラムについては、「映画もアートも自由表現。自由は快楽と同時に危険を伴う。危なっかしいからこそ魅力がある」。オープニングプレミア上映される『追憶』や木村祐一が手がけたドキュメンタリー『ワレワレハワラワレタイ(仮)』、桃井かおりさん脚本・演出・主演の『Hee〈メイキング〉』といった作品を例に、「京都に来ないと見られないという映画を集め、未来に羽ばたいていく才能も開発する映画祭にしたい。京都という懐に甘えさせていただき、危険な映画をどんどんやっていきたい」と狙いを明かしました。「今日発表するもの以外にも、『上映はいかがなものか』と言われるようなエッジのきいた作品を並べていきたい」との言葉に、期待が高まります。

奥山さんの話が長引き、呼び込まれるなり「(持ち時間が)25秒しかないと言われましたよ!」とクレームをつけて笑わせたのは「アート部門」アートプランナーのおかけんた。「今年はアートと映画の融合をテーマにした」そうで、中島監督の作品(『時代劇は死なず ちゃんばら美学考』)に登場する小道具の展示なども行われるとのこと。また、京都市役所前には風の力を受けて自走するテオ・ヤンセンの巨大作品『アニマリス・シアメシス』が展示されることから、「京都に新しい風を吹かせます」とアピールしました。

会見はいよいよ「映画部門」「アート部門」「クリエイターズ・ファクトリー部門」の詳細発表へ。「映画部門」では、心に響くドキュメンタリーやノンフィクションを特集する「Special Screening in KYOTO【事実は小説より奇なり】」をはじめとする上映作品の紹介に加え、三船史郎さん、中島監督、木村祐一、杉野希妃さんがゲストとして舞台へ。三船敏郎賞の審査員を務める三船さんは、「父・敏郎がベネツィア国際映画祭で二度目の主演男優賞を受賞してちょうど50年。今年のベネツィアで(受賞)作品(『赤ひげ』)が上映されますが、京都国際映画祭でも上映されるとのことなので、皆さん、楽しみにしていただきたい」と呼びかけ。

中島監督は先の挨拶でも触れた自身のドキュメンタリー作品について「京都から何が発信できるのかと考え、時代劇、特にちゃんばらについて、その本質は何だったのか、何であるべきなのかなどいろんな側面から描いた。これを見ていただければ京都の時代劇の歴史、ちゃんばらの歴史などがわかる。最後には、こういうちゃんばらをやってみたいなと思うシーンを付け加えており、楽しんでいただけるドキュメンタリーになっているのでご期待いただきたい」と説明します。

木村は、『ワレワレハワラワレタイ(仮)』の監督として、107組の芸人へインタビューを敢行。「2013年2月、雨上がり決死隊から始めて、昨日オールアップした。その中から10組ほどのインタビュー映像を、いろんな会場でご覧いただく。芸人が悲喜こもごもを自然な姿で答えてくれている、そういったところを見てもらいたい」と見どころを。

2013年の沖縄国際映画祭「クリエイターズ・ファクトリー」でニュークリエイター賞と女優賞をダブル受賞した、今回は初監督作『マンガ肉と僕』が上映される杉野さんは「京都に対してすごく憧れがあり、映画の聖地とも思っている。私の作品にも、京都の名所や京都の人しか知らない場所が出てくるので、京都府民はもちろん他の地域の方々も楽しめると思います」と話しました。

「アート部門」は、おかけんたを進行役に、村上ショージ、古川博規さん、八田誠司さん、ピース又吉直樹らゲストもまじえ、各会場で行われる展示やイベント、作品を紹介。墨絵が得意なショージは、巨大な竹紙に京都をテーマにした作品を描いて総本山誓願寺に展示。「畳一畳の大きさの竹の紙を創ってもらったのに、ちっぽけなものしか描けない。人間がちっちゃいからです」と謙遜して笑わせたショージですが、市販の筆ペンを使って描く作品は高い評価を得ており、最後は「おかけんたプランナーをビックリさせるような作品を描いてます! ドゥーン!」と力強く宣言しました。

又吉も同じく総本山誓願寺で、「又吉直樹×「文学」の世界」を開催。芥川賞受賞作『火花』の表紙を飾った西川美穂さんの作品『イマスカ』や、又吉が考えた奇想天外な四字熟語を書道家の田中象雨さんが描く『新・四字熟語』が、いずれも関西初展示されます。『イマスカ』を選んだ理由について、又吉は「赤の強さと、謎というか、どういう絵なんだろうと気になった」と説明。来場者に向けては「ぜひお怪我のないように、安全に過ごして、僕の作品も楽しんでほしい」と、こちらも謎に満ちたメッセージを送っていました。

最後は「クリエイターズ・ファクトリー」。エンターテインメント映像部門とアート部門/子ども部門において、それぞれ新たな才能を発掘するためのコンペティションとなっており、今年も力作が集まりそうです。エンターテインメント映像部門からはディレクター兼審査員の映画史研究家・春日太一さんが挨拶に立ち、「今年からアートと一線を画す形でエンターテインメントという名前の部門になった。エンタメ性あふれる作品が集まれば、そして一本でも時代劇作品があれば...」とコメント。アート部門/子ども部門審査員のデザイナー・串野真也さんは、「将来、素晴らしいアーティストになるきっかけになる作品が出てきてほしい。爆発的なパワーのあるものがあればうれしいです」と、まだ見ぬ新星の誕生に期待を寄せました。

映画祭のアンバサダーに選出された、女優の桃井かおりさん、板尾創路からもメッセージが。桃井さんは、映画撮影中のラトビアからVTRで出演。海外を拠点にさまざまな作品を出演、手がけてきた経験から、「スポンサーのついていない、お金のないインディーズの映画は、いい作品さえ作れば、こういう国際映画祭に出品させていただけて、そこで皆さんに見てもらえる。賞をもらったり見てくださった方が気に入ってくだされば、その映画の運命が変わっていくというのを実感しているので、京都国際映画祭が成功して、いろんな新しい作品やいいアーティストたちがチャンスをつかむことを切に切に願っています」。さらに「特に京都は世界に誇れる映画人が集まっている場所だと思っているので、いい映画祭になってくれるんじゃないかな、と期待しています。何ができるかわかりませんが、一生懸命務めさせていただきたい」と決意を新たにしていました。

昨年も京都国際映画祭に参加した板尾は、「京都で映画祭をやってる、という感じがよかった。うまく言えないけど、いい雰囲気でした」と回想。今回の大役については「アンバサダーに似合う男かどうかはわかりませんが...アンバサダーって何やろう(笑)。最後までつかみきれずに終わるかも」と不安も口にしつつ、「桃井さんをエスコートしながら何とか」と話していました。

そして、会見の最後には、京都出身の今くるよがスペシャルゲストとして挨拶。京都と映画祭をつなぐ「架橋」と紹介されたくるよは、「架橋ガールの今くるよです」と元気いっぱいに登場。小さい頃は両親に連れられよく映画館に行ったそうで、「それから自分で行くようになって...当時はまだ3本立てでした」と思い出トークを展開するとともに、「『私、女優になるんちゃうか』『スクリーンの中に入ってみたいわ』など、いろんな夢を見た。大映、東映の撮影所にもよく行きました。俳優さんを見て『きゃあ、かっこいい!』と。今も覚えています」と"夢を見せてくれる"映画の力を賞賛。ピースのふたりに「どやさ!」攻撃も仕掛けて笑いを誘いながら、「これからも文化と映画とお笑いと、架橋ガールでいきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします」と締めくくりました。