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映画作りの中心は中高生!『茜色クラリネット』舞台挨拶&ティーチインを実施

2015年10月17日(土) レポート

10月17日(土) に立誠シネマプロジェクトで『茜色クラリネット』が上映、主演の佐藤楓子さん、録音担当の鈴木智美さん、プロデューサーの中島洋さんによる舞台挨拶が行われました。

この作品は、北海道・札幌で行われた短編映画制作のワークショップの集大成として誕生したことが中島プロデューサーから語られました。中高生が中心となって撮影が進められ、映画・演劇のプロや、400名ものエキストラが参加し撮影を行うなど地域市民らの協力を得て完成しました。脚本も公募から選ばれたものです。

本作は撮影地の北海道・琴似が舞台の長編ファンタジー。中学生の茜と夏輝は不思議な本の力で夢の中に入り、同級生・藍の「助けて!」の声を耳にします。その頃、街ではこどもの姿のまま大人になってしまう「大人病」が蔓延。茜らはその謎を解決するため奔走するというお話です。

上映後のティーチインでは、北海道の街の歴史を織り込みながら夢と現実を行き来するストーリーの複雑さから「制作中に脚本を削ろうという意見はでなかったのですか?」という質問が出ました。これにプロデューサーの中島さんは「地域のみなさんと一緒にやっているので、地域のことをどう伝えるかを“柱”にしています」という自分たちの中での強い信念が映画作りの基となっていると答えます。それを受け質問者の方は「それを聞いて、一層感動しました」と、映画の、街の魅力を受け取ったことを告げました。中島さんはじめ、制作者の想いが伝わった瞬間です。

主演の佐藤楓子さんは現在、高校1年生。撮影当時は中学2年生でした。「最初は演じるの恥ずかしくなかったのですか?」と司会の武内から聞かれ、「恥ずかしくなかったです」ときっぱり。「みんなでやるという雰囲気だから、恥ずかしさというよりは(やらなければという)焦りの方がありました」と、女優としての意識の高さを見せていました。でも女優を目指す決意を固めている訳ではなく、「文房具を作る人」「映画の予告編のナレーター」も仕事のひとつとして迷っているそうです。

一方、録音を担当した鈴木智美さん(現在20歳)は、「映画プロデューサーなりたい」と心に決めているそう。中学2年生、高校3年生、昨年19歳の時に映画を作ったことで、「私の生きる世界はここだな」という経験を得たとのこと。「なので、映画界に飛び込んでプロデューサーになって映画を作ることになったら、彼女にナレーターをやってもらおうかなと思っています」と、早速、佐藤さんにオファーを出しました。今回の京都国際映画祭の上映で、ふたりの新たな夢が生まれました。